銅は、人の生活に欠かせない金属です。
さびにくく、熱や電気を通しやすく、加工しやすいという特徴のため、銅は色々な所で使われているんです。
住宅の屋根や、キッチン用品、家電製品、自動車の電子部品や金管楽器などなど。
銅だと言われないと気が付かないほどです。
また、銅の優れた特徴の一つに抗菌性があります。
銅の抗菌性は強くインフルエンザやノロウィルスといったウイルスにも効果的。
こちらでは、銅の効果や役割、銅が使われている製品などを分かりやすくご紹介します。
銅とは?
銅は人類が初めて使った金属と言われ、一説には紀元前9,000年前から銅を使っていたと言われています。
銅は、農具や貨幣などに利用されたほか、芸術分野でも盛んに利用され、彫刻や写真技術にも利用されました。
現在でも、電線や配管、電子部品、鍋などのキッチン用品に幅広く使われています。
特徴
銅の特徴はこちら。
- 加工しやすい
- さびにくい
- 熱を伝えやすい
- 電気を通しやすい
- 抗菌作用をもつ
- 美しい光沢をもつ
1 加工しやすい
人類が古代から銅を使い始めた理由の一つが、銅の加工しやすさです。
銅は工具を使って切ったり穴をあけたりしやすく、薄く延ばして板状にするなど使いやすい形にしやすい金属で、細かい模様や細工もしやすい性質を持っています。
2 さびにくい
銅は、金→白銀→銀→水銀についでさびにくいとされています。
海水によるさびにも強いので、船のスクリューや船底に銅が使われているんです。
3 熱を伝えやすい
銅は金属の中でも熱を伝えやすい性質を持っています。
熱の伝えやすさは、ダイヤモンド→銀→銅→金→アルミニウム→鉄→ステンレスといった順番。
ダイヤモンド、銀や金の値段を考えると、銅はコストパフォーマンスのとてもいい金属です。
4 電気を通しやすい
銅は金属の中でも電気を通しやすい性質を持っています。
電気の通しやすいさは、銀→銅→金→アルミニウム→亜鉛となっています。
安価で電気を通しやすい銅はとても使い勝手が良いため、銅線ケーブルとしてい幅広く使用されています。
5 抗菌作用をもつ
銅には、微量の銅イオンが細菌類のはたらきを押さえたり死滅させたりする効果があります。
6 美しい光沢をもつ
銅にはさまざまな色があり、特に銅と亜鉛の合金である真鍮は金のような光沢を持っています。
種類
銅の主な種類はこちら。
- 純銅:純度の高い銅のこと。工業製品で良く使われていて、銅の割合が99.95%以上のものがほとんど。
- 黄銅:銅と亜鉛の合金。亜鉛の割合が20%以上のものを「真鍮(しんちゅう)」と呼ぶ。
- 青銅:銅とスズの合金。一般にブロンズと呼ばれるものは青銅のこと。
- 白銅:銅とニッケルの合金。さびにくい。
- 洋白:銅と亜鉛とニッケルの合金。
- ベリリウム銅:銅とベリリウムの合金。銅に少しのベリリウムを加えることで、強い強度や耐久性を付与している。
10円玉が銅で作られていることは有名ですが、実は、日本の貨幣には1円玉を除いてすべて銅が使われているんです。
貨幣の色が違うのは、使っている銅の種類が違うから。
貨幣に使われている銅の種類はこちらです。
- 500円貨幣:ニッケル黄銅(銅と亜鉛とニッケルの合金)、白銅及び銅
- 100円貨幣:白銅
- 50円貨幣:白銅
- 10円貨幣:青銅
- 5円貨幣:黄銅
銅の抗菌作用
銅には強い抗菌作用があります。
代表的なものでは、O-157、ノロウイルス、インフルエンザ、レジオネラ菌や新型コロナウイルスに対しても強力な抗菌作用を持つことが確認されました。
そのため衛生環境が求められる場所で銅製品が採用されています。
- 建築物の給水・給湯配管の銅管に使うことで、銅管内を衛生的に保つ。
- 下水処理場:銅板を使うことで藻の大量発生を防止し、ボウフラを退治。
- 病院内の院内感染防止
- 1円を除く貨幣
特に病院では、ドアノブ、ハンドル、手すりや床材などに銅を使うことで、ドアや床に付着している細菌の数を減らすことに成功しています。
2012年には、銅の抗菌作用に注目した千代田病院(宮崎県)が1トンもの銅製品を導入して世界的に注目されました。
幼稚園や保育園でも銅製品の導入を進めるところが増えています。
また1円を除くすべての貨幣に銅が使われています。
不特定多数の手に渡っても貨幣が清潔に保たれているのは、銅の抗菌作用のおかげでなんです。
銅が下水処理場で、ボウフラの退治に使われているとは驚きですが、家庭でも手軽にボウフラを駆除できる銅製品があるんですよ。
夏のボウフラ駆除に興味がる方は、こちらの記事をチェック!
▼ ▼ ▼
-
蚊の幼虫ボウフラを駆除するには銅が効果的?対策や商品を紹介!
ボウフラ退治には、意外なことに銅が効果的なんです。 夏の害虫と言えば「蚊」ですが、蚊を駆除するには、蚊の幼虫であるボウフラを駆除することが一番効率的です。 ボウフラは住人も知らない間に庭の水たまりで成 ...
続きを見る
銅が使われている製品
銅の安価で加工しやすく、熱と電気を通しやすい特徴と強力な抗菌作用により、銅はいろいろな姿に形を変えて日常生活に存在しています。
こちらでは銅が使われている製品をご紹介します。
日用品
日用品にも銅が使われています。
- キッチン用品:フライパン、玉子焼き器、ケトル、マグカップ、三角コーナー、抗菌スポンジ
- 文房具:ボールペン、ペンスタンド、文鎮、マウスパッド
- マスク:抗菌シート、銅繊維入りマスク、マスク殺菌ケース
熱を伝えやすくさびにく抗菌作用もあるため、キッチン用品に最適な銅。
プロの料理人からも高く評価されています。
また、銅を繊維状にすることでマスクなどに活用されています。
電化製品
銅は電化製品にも使われているんです。
デジカメ、テレビ、エアコン、冷蔵庫、オーディオ、ノートパソコン、スマートフォン、ゲーム機。
プリント基板や配管、熱交換機など、銅の電気を通しやすく熱を伝えやすい性質を利用しています。
車両・船舶
車両の電子機器には配線やコネクター端子など銅製品が多く使われています。
また銅は海水によるさびに強いため、船舶のスクリューや船底に銅が使われています。
大型貨物船など船底が赤い船舶が多いのは、亜酸化銅を含む塗料を塗っているから。
海水によるさびだけでなく、カキやフジツボ、アオノリが船底に付くことも防止しています。
建築物
江戸時代から寺社仏閣の屋根に銅板が使われるようになりました。
耐久性が高いだけでなく、時間経過による銅の色の変化も楽しめます。
有名な大阪城の屋根が緑色なのは、屋根に使われている銅が年月の経過とともに緑青と言われる色に変化したからなんです。
もちろん現在の住宅も屋根だけでなく、配管や壁、床材などに銅の特徴が生かされています。
その他
そのほかにも銅は、貨幣、金管楽器、彫像などの美術品にも使われています。
金管楽器によく使われているのが真鍮や洋白。
見た目の美しさだけでなく、銅と亜鉛の配合具合によって音色が変わってしまうんです。
まとめ
銅は文明的な生活を送る上欠かせない金属です。
加工しやすく、さびにくい。
熱も伝えやすく電気も通しやすい。
美しい光沢があり強い抗菌性も持っている。
しかも安価です。
パソコンやスマホの電子部品といった小さなものから、建築物の屋根といった大きなものにも銅は採用されています。
身近にあるもので、銅が使われている製品を探してみるのも楽しいかもしれません。